なぜメール 誤送信対策をする必要があるのか?

2025.02.04
ノウハウ
メール誤送信対策

目次

メール誤送信の現状とリスク

メール誤送信の現状とリスクは次のとおりです。

  • 誤送信による個人情報漏洩の件数は、2022年の上場企業における個人情報漏えい・紛失事故の件数の約26%を占めています。
  • 宛先を間違えるだけで、自社のクライアントの情報や顧客リストなどの個人情報が漏洩する可能性があります。
  • 誤って社外秘の情報を他社に送信すると、機密情報の漏えいに直結します。
  • 個人情報や機密情報が漏洩すると、プライバシーの侵害に該当する恐れがあります。
  • 顧客や取引先からの信頼度が下がることで、企業のブランドイメージも低下し、売上も下がる可能性があります。
  • 個人情報漏洩の場合に企業が負担する平均想定損害賠償額は1件あたりで6億円を超えており、経営を揺るがすような多額の損害賠償が必要になるケースもありえます。
    ※日本ネットワークセキュリティ協会 2019年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書

メール誤送信を防ぐには、メール送信前の確認や誤送信防止の取り組みが極めて重要です。

メール誤送信の頻度や代表的な事例の紹介

メール誤送信の頻度は、企業の営業日を月20日とすると、およそ2日に1件以上の発生頻度と言われています。

メール誤送信によるセキュリティインシデントの件数は、2023年の1年間で158件、2024年上半期で79件発生しています。また、2023年度のメール誤送信の報告件数は2,138件と、2022年度の1,730件に比べ約120%増加しています。

メール誤送信の発生原因としては、宛先を間違える、添付ファイルを忘れる、メール本文の誤字脱字、本文が作成途中のまま送ってしまうなどが挙げられます。

メール誤送信に気付くのは、本人が70.0%以上、10分以内に誤送信に気付く割合は50.0%以上と言われています。送信から30分以内が最も誤送信に気付きやすいものと考えられます。

例: 機密情報を誤って他者に送信したケース

インフラ会社で電子メールを誤送信し、約12,000名の個人情報が流出した

2022年4月1日に、ガスを取り扱うインフラ企業の関連会社である株式会社ガスパル中国で、業務委託先の保安取引会社にメールを誤送信する事件が発生しました。この事件により、顧客12,418名の氏名、住所、電話番号などの個人情報が流出しました。

この事件の詳細は次のとおりです。

  • 担当者が業務委託先にメールを送信する際に、顧客情報が記録されたExcelファイルを誤って添付した
  • 緊急時の業務委託に関わる顧客データをメール送信する際に、誤って業務委託とは関係のない顧客の個人情報を含むデータを送信した
  • ガスパル社は、誤送信先の業務委託会社にメールの削除を依頼した

この誤送信は、担当者のキャパシティを超えたマルチタスクが原因であると推測されています。再発防止策としてメール送信前に複数名で内容確認を徹底する方針を明らかにしました。

株式会社神奈川銀行で、職員が業務提携先の企業に発信した電子メールを誤送信し、利用者11,941先の個人情報や融資情報などが流出した

株式会社神奈川銀行は2021年5月8日、同行の職員が業務提携先の企業に発信した電子メールについて誤送信が発生し、同行の利用者1万1,941先の個人情報や融資情報などが流出したと明らかにしました。

2021年4月28日に電子メールを受け取った業務委託先から流出の事実について指摘が入り、判明しました。

指摘を受けた同行が行内点検を実施したところ、2018年5月18日~2021年4月26日にかけて、合計39回(30社)の誤送信が確認されたため、同行は2021年5月7日までに業務委託先において誤送信メールの削除を依頼し、確認したとしています。

同行によれば、表計算ファイルにはパスワードを設定していましたが、パスワードの共有方法はケースバイケースで、同じメール送信経路で共有する、いわゆる「PPAP」で送信していたケースもあるとしています。

メール誤送信が発生する背景

メール誤送信が発生する背景としては大きくは下記の2つのエラー、ミスが原因です。

ヒューマンエラー

ヒューマンエラーによるメール誤送信の原因は主に以下に分類されます。

経験値不足

代表的なヒューマンエラーの原因に経験不足があり、メールの使い方が分かっていないことが原因と考えられます。

初めて会社のメールを使う新人に多い原因で、送信前に確認するポイントを把握していないことが大半です。経験不足だと実際にミスが起きることを予測できないでしょう。

業務に対して無知であることや、学習不足がミスを引き起こしているため、十分に理解を深める必要があります。

定められた手順の省略

作業に慣れてしまうと、確認する作業や添付ファイルのパスワード設定など、効率化の意識によって省略してしまうケースもあります。

結果として、確認する工程を省いてしまい、ミスが起きやすくなります。

手順の省略はコンプライアンスに関わる重要な問題に発展する可能性があるため、徹底した社員への教育が必要です。

注意力散漫

ヒューマンエラーは従業員の体調や状態にも大きく関わります。

上司・先輩からのプレッシャーを感じているときや、連日の残業で疲れているときなどはミスをしやすくなります。プレッシャーが強いとパニックになり正しい判断ができず、疲れていると集中力が低下します。

注意力が欠けているときは、特にメール送信前に入念なチェックが必要となります。

誤設定や操作ミス

メールの誤送信は、送信者の操作ミスやシステムや設定の問題などが原因で発生します。

メール誤送信の原因となる操作ミスには、次のようなものがあります。

  • タイプミス
  • 自動補完機能による誤入力
  • 類似した名前・アドレスの混同
  • CC(カーボンコピー)とBCC(ブラインドカーボンコピー)の誤用
  • メーリングリストの不適切な設定
  • ファイルの誤添付

システムや設定の問題としては、次のようなものがあります。

  • ソフトウェアのバグ
  •  セキュリティ設定の不備。

メール誤送信がもたらすリスク

メール誤送信がもたらすリスクとしては以下が挙げられます。

情報漏洩による信頼低下

メール誤送信をしてしまい、大切な情報を外部に漏らすと社会における会社への信用や信頼が低下します。セキュリティに対するリスク管理ができていない企業とみなされることが要因です。

企業と取引する際は、重要な情報のやり取りが数多くあります。情報漏えいが起きる会社だと認識されてしまうと、取引先は安心して情報を預けることが難しく、関係を維持できなくなります。

会社に対する評判は広がりが早いため、信用を失うのも一瞬です。万全な対策を徹底する必要があります。

法的リスクや損害賠償の可能性

メールの誤送信によって個人情報が漏えいした場合、民法709条・710条の不法行為責任を負う可能性があり、プライバシーの侵害として損害賠償請求を受ける可能性があります。

損害賠償額の相場は、漏えいした情報や流出規模、二次被害の有無などによって異なります。

  • 基本的な個人情報(氏名、住所、生年月日、性別など)が漏えいした場合、1件あたり5,000円~1万5,000円程度が相場です。
  • デリケートな情報(個人の成績や病歴など)が漏えいした場合、損害賠償額は高額になる傾向があります。
  • 流出規模が拡大するにつれ損害賠償額が莫大になる可能性もあります。

2. メール誤送信が引き起こす主なリスク

ここからはメール誤送信が引き起こす主なリスクについて解説していきます。

2.1. 個人情報や機密情報の漏洩

顧客データや社員情報などの漏洩による影響

メール誤送信によって個人データや社員情報が漏洩すると、次のようなリスクがあります。

  • 法的責任が問われる可能性がある
  • 社会的信用が低下する
  • 経済的な損失に直結する恐れがある
  • 企業の事業継続に影響を及ぼす可能性がある

個人情報漏洩は、宛先を間違えて個人情報が記載されたメールを送信することで発生します。個人を特定できる情報が漏えいすると、法的責任が問われる可能性が高くなります。また、顧客リストなどの個人情報がまとまったデータが漏えいすると、悪意のある第三者に悪用される可能性もあります。

機密情報漏洩は、宛先を間違えて見積書や取引先の非公開データが含まれた文面を送信することで発生します。機密情報漏えいによって、取引停止や損害賠償請求などの経済的な損失に直結する恐れがあります。

メール誤送信によるリスクを軽減するには、メール送信前の確認や誤送信防止の取り組みが重要です。

具体的な損害額や事例

Yahoo!BB顧客情報漏洩事件(大阪高等裁判所平成19年6月21日判決)

・Yahoo!BBを運営していた「BBテクノロジー株式会社」が、顧客の氏名や住所、電話番号等の個人情報を漏洩させた事案です。被害者は、同社に対し、1人について10万円の損害賠償の支払いを求めて裁判しました。裁判所は、BBテクノロジー社の責任を認め、被害者1人あたり慰謝料5000円(プラス弁護士費用1000円)の損害賠償命令を下しました。

TBC顧客アンケート漏洩事件(東京地方裁判所平成19年2月8日判決)

TBCのWebサイトで、会員約5万人分の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、職業、スリーサイズなどの情報が閲覧可能な状態になり、流出データが悪用された事案です。

判決では、原告13名にそれぞれ3万5,000円、1名に2万2,000円の賠償金を支払うように命じる判決が下されました。

賠償額高額化の要因としては、エステティック特有の身体的状況に関する個人情報が含まれていたことや情報が「2ちゃんねる」掲示板に掲載され、迷惑メールやダイレクトメールなどの二次被害が生じていたことなどが要因と考えられています。

2.2. 法的・規制上のペナルティ

個人情報を漏洩してしまった場合の罰則は、個人情報保護法によって規定されています。個人情報保護法は個人情報を扱うすべての事業者に適用され、個人情報漏洩を起こした行為者や法人に対して、懲役刑や罰金刑が科せられます。個人情報保護法で、個人情報漏洩の罰則対象となるのは、次の3つのケースです。

  • 個人情報保護委員会からの命令に違反した場合
  • 個人情報を不正に提供した場合
  • 個人情報保護委員会に虚偽の報告をした場合

個人情報保護法やGDPR違反による罰則

個人情報保護法に関して、「個人情報の利用目的を明示していない」「個人情報を不正に取得する」など、個人情報保護法に違反する行動を起こし、個人情報保護委員会の改善命令にも違反した場合は、懲役または罰金が科せられます。

2020年に公布された改正個人情報保護法(2022年4月に全面施行)では、従来よりもペナルティが厳格化されました。特に法人への罰金刑は、「個人と同額(50万円あるいは30万円以下)」から「1億円以下」へと大幅に引き上げられました。

個人情報保護法に違反した場合は刑事上の罰則だけでなく、多額の損害賠償をともなう民事上の問題にも発展する可能性があります。

また、2018年にEUで施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)は、個人情報のあり方が多様化している現代の基準となる、新たな個人情報保護のルールです。GDPRを原則として、個人情報の取り扱いを改める流れが世界各国で見られるようになりました。

2022年11月には、GDPR施行後日本企業で初めて制裁金を科された事例(NTTデータの事例)も発生しました。

NTTデータ:制裁金6万4,000ユーロ(約940万円)

2022年11月、大手システムインテグレーション企業であるNTTデータ社のスペイン子会社に対し、取引先の顧客情報漏洩に対して過失があったとして、現地のデータ保護当局より約6万4,000ユーロ(約940万円)の制裁金が科されたことが公表されました。

本事例は、2021年8月に発生したNTTデータスペインが顧客管理システムを提供する保険会社での顧客情報の漏洩事件が発端とされています。当時より現地のデータ保護当局が調査を進めており、調査の結果、同社に対しても情報漏洩防止のためのセキュリティ対策が不十分であったと指摘されました。

2.3. 企業イメージの損失

メールの誤送信は、企業のイメージやブランド価値を低下させ、売上や事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。

メール誤送信による企業のイメージやブランド価値への影響には、次のようなものがあります。

  • 顧客や取引先からの信頼度が下がる
  • 世間や他社から信用を失う
  • 関係企業との関係が悪化し、信用度が著しく低下する
  • 関係者や業界全体での企業イメージが損なわれる

また、メール誤送信による経済的負担も大きくなります。

  • 損失を被った企業が訴訟を起こした場合は、多額の賠償金を請求される恐れがある
  • 事故発生後の外部報告や再発防止策の立案・実施の対応工数が発生する

SNSやメディアでの炎上リスク

SNSは、広範囲にかつスピーディに情報を拡散できるからこそ、炎上した際の広がりも大きくなります。不祥事だけでなく風評被害により非難や誹謗中傷が殺到し、収拾がつかなくなってしまう「ネット炎上」のトラブルも相次いでいます。

炎上するプロセスにはさまざまなパターンがありますが、以下のようなプロセスで大きく広がることが一般的と言われています。

炎上プロセス

情報発信

SNSでの拡散

インフルエンサーの拡散によってさらに話題に

まとめサイトや匿名掲示板など、SNS以外でも広がる

ニュースサイトにて炎上したことが記事化される

メディアで報道される

SNSを通して、企業のX(旧Twitter)アカウントが炎上した際に、ネガティブな評価が広まり、企業・団体の信用やブランド価値が低下し損失を被るリスクとして、以下のようなリスクが考えられます。

  • 企業・団体やブランドイメージの低下
  • 得意先や既存の顧客離れに伴う業績悪化
  • ビジネスチャンスの喪失
  • 株価の下落
  • 退職増加による人材流出や採用活動の難航 など

SNS上で情報がすぐ拡散する昨今においては、炎上発生後8時間以内に最初の対応が必要です。特に、企業・団体に関する批判や中傷は、拡散されやすい傾向があります。初期にしっかりと火消しを行う必要があります。

信頼回復の難しさとコスト

一度失った信頼を回復することは簡単なことではありません。

緊急事態における対応では、初動対応とメディア対応の失敗が、取り返しのつかない大きな危機に直結します。ダメージの最小化、早期の収束という点からも、この二つが重要です。

危機に迅速に対応することで、不祥事を起こしたものの、対応は評価できる、という評判、レピュテーションの回復が望ましいと言えます。

一度起きてしまった不祥事に対して、信頼回復を図るためには下記の流れで対応を行うことが必要です。

(1)徹底した調査・原因特定を含む事実認定

(2)公表と謝罪・積極的な情報開示

(3)責任と処分の明確化

(4)再発防止策の策定

(5)信頼回復のための施策実行

の5つです。

経営者が前面に立ち、可能な限り速やかに評判の回復を図る必要があります。信頼を失った企業にとって、最も重要な点は「透明性」の確保と言えます。

それだけ、信頼回復には労力とコストがかかると考えられます。

2.4. 業務効率の低下

メールの誤送信は、業務効率の低下につながる可能性があります。メール誤送信を防ぐには、システムの導入や社内ルールの整備などが有効です。

メール誤送信が業務効率に与える影響としては、次のようなものが考えられます。

  • 謝罪や対応に時間がかかる
  • 情報漏洩の調査や再発防止策の検討に時間がかかる

ミス対応のための追加業務とコスト

メール誤送信を行ってしまうと、短期的には、起きてしまった事象の早期収束を図るべく、送付先の確認や送ってしまった内容の確認、送り先に対しての謝罪対応に追われることとなります。また、メール誤送信を行ってしまった担当者のみならず、その上司は当然のこと、社内の関係各所での対応が必要となり、会社全体のリソースが割かれることとなります。

また、仮に原因究明ができ、その場での対応ができたとしても、長期的な面で、今後同様な事象が起きないような対策を会社全体として考える必要があります。

二重チェックを行う、CcとBccの適切な利用を行うなど、部署で対応ができることから、メール誤送信防止ツールの導入など、実額としてコストが伴うものなど様々です。

3. メール誤送信の主な原因

メール誤送信の主な原因としては、操作ミスやシステムの不備、個人の意識の欠如などが挙げられます。

3.1. 操作ミス

宛先の入力間違い(To, Cc, Bcc)

メールの宛先を入力する際に間違って送信してしまう原因には、次のようなものがあります。

  • 手入力時に打ち間違いをする
  • アドレス帳から選択する際に間違える
  • オートコンプリート機能で誤った文字列が呼び出される
  • 似たような名前の宛先に送る
  • 一斉送信の際にBCCの設定を間違える
  • メール配信システムで宛先の抽出条件の設定を間違える

メール誤送信は、ヒューマンエラーが最も多く、多忙な業務や緊急時、業務過多の状況下で焦って送信することにより発生します。また、メーラー(メールソフト)のサジェスト機能で宛先が自動で表示されることも原因として挙げられます。

メール誤送信を防ぐには、送信前に内容を再確認するルールを徹底し、社員の意識を高めることが重要です。また、オートコンプリート機能やアドレス帳からの選択ではなく、届いたメールに返信する方法を検討することもよいでしょう。

メール誤送信が発生した場合、誤った送信先への謝罪を迅速に行い、本来の送信先へも誤送信の詳細説明と謝罪を行う必要があります。

添付ファイルの選択ミス

添付ファイルの選択ミスの原因として、確認する時間がそもそもなかったことが挙げられます。メールを送信する前に確認する時間がなく、誤送信してしまうこともあります。

急いでいるときや忙しいときなど、注意力が散漫な状態のときは、メールの誤送信も増えてしまいます。メールを使用する際は、忙しくとも必ず再確認することが大切です。

注意力が散漫な状態でメールをすることは危険なため、確認する時間がない場合は、一度保留にするなど落ち着くことを意識する必要があります。

3.2. システムの不備

自動補完機能による誤選択

自動補完機能(オートコンプリート)は、入力中の情報から送信先の候補を推測して提示する便利な機能です。しかしながら、自動補完機能は送信先の候補を複数表示するため、送信者が誤った送信先を選択してしまうことがあります。例えば、”oota”と入力し始めたところで、”太田”ではなく”大田さん”が送信先の候補に挙がり、それを選んでしまうことで、メール誤送信が発生してしまうということなどが考えられます。

セキュリティ機能の不足

メール誤送信防止ツールには、次のような機能がありますが、その機能を使いこなせていない可能性も有ります。

  • 送信時の確認ポップアップ表示
  • 誤字脱字の自動チェック
  • CC・BCCの強制追加
  •  送信保留機能。

また、セキュリティソフトウェアには、次のような機能がありますが、上記同様に使いこなせていない可能性があります。

  • 遅延配送で誤送信を防ぐ
  • 添付ファイル自動暗号化
  •  保存メールの高度な検索。

3.3. 意識の欠如

社員のセキュリティ意識の低さ

メール誤送信の発生原因として、個人のセキュリティ意識の低さが挙げられます。従業員の危機管理意識が低いと、メール送信のルールを守らず、インシデントの頻度が高まる可能性があります。

メール誤送信の対策としては、社員の意識に左右されない環境整備が重要です。具体的には、次のような対策が考えられます。

  • 送信前チェックリストの作成
  • 教育による社内ルールの整備
  • メール誤送信対策ツールの導入
  • 添付ファイルの暗号化
  • オートコンプリートの無効化
  • 送信取り消し機能の利用
  • 宛先確認プロセスの強化
  • CCとBCCの使い分けの教育

業務の多忙さによる確認不足

また、ビジネスマンの1日のメールの送信数や受信数、処理にかかる時間などについては、次のような調査結果があります。

  • 1日の平均送信数は12.27通、受信数は47.83通
  • 1通書くのにかかる平均時間は5分56秒
  • 1日あたりのメール処理にかかる時間は、読む時間が約69分、書く時間が約81分

また、メールの返信が遅れることについて、次のような調査結果があります。

  • 7割近い人が1日(24時間)以内に返信がこないと遅いと感じる
  • 69.09%の人が、メールの返信が遅れてしまうことがある
  • 残業が多いと感じている人ほどメールの返信が遅れる頻度が高い傾向にある

上記より、早く返信しないといけないという焦りから、メール内容の確認が十分にできず、メール誤送信に繋がっている可能性もあると考えられます。

4. メール誤送信対策の必要性

メール誤送信は情報漏えいの大きな原因となっており、また、誰でもメール誤送信は起き得ることから企業での対策は急務です。

4.1. リスク軽減

誤送信を防止することで損害を未然に防ぐ

メール誤送信を理由として損害賠償に発展する事例も紹介しました。また、損害としては、個人情報の漏えい、機密情報の漏えい、会社の信用低下、などあらゆる損害が考えられます。メール誤送信を未然に防ぐことで、あらゆる会社への損害を防ぐことができます。

4.2. コンプライアンス遵守

法律や規制に対応した安心の業務運用

メール誤送信を防ぐ会社の対応は、世の中のコンプライアンス遵守の動きと紐づいています。しっかりと対策を講じることで会社の信用にもつながります。

メールの誤送信をコンプライアンスに則って行うには、社内ルールを定め、ルールに基づいて作業を進めることが大切です。また、メール誤送信が発生した場合には、迅速に謝罪を行い、適切な対応をする必要があります。

メール誤送信をコンプライアンスに則って行うための対策には、次のようなものがあります。

  • 社内ルールを定める
  • セキュリティ教育を実施する
  • 誤送信防止ツールを活用する
  • 添付ファイルは暗号化する
  • メール送信時の最終確認を行う
  • オートコンプリートを無効にする
  • 送信取り消し機能を利用する
  • メール送信をあえて遅延させる
  • 宛先と送信先の確認
  • CCとBCCの適切な利用

4.3. 信頼維持と競争力向上

顧客や取引先からの信頼を守る重要性

メール誤送信により失った信頼を取り戻すには想定以上の時間を要します。裏を返すと、メール誤送信を未然に防ぐ取り組みを行っている企業については、世の中も一定の信頼性を置くことになります。

顧客や取引先と商談を重ねることにおいても、サービスやプロダクト内容では競合と比較しても差が無い中で、個人情報や機密情報の取組姿勢で差がつくことも可能性としてはあり得ます。ネガティブとなりうる要素は未然に防いでおくことが今後の企業間での取引においては重要な事項と言えそうです。

4.4. 業務効率の向上

誤送信防止ツールの活用による負担軽減

メールの誤送信を防ぐためのソフトを使うことで、メールを送信する前に自動的に宛先や内容をチェックできるようになります。いちいち時間をかけずに少ない手間で誤送信への対策ができるため便利です。

メールの誤送信を防止するソフトには、さまざまな機能があります。例えば、上長承認機能では、部下のメールの送信が一時的に保留になり、上長が確認しないと送信されないようになります。

また、自動暗号化機能を使うことで、メールの添付ファイルに自動でパスワードを設定できます。パスワードはファイルを添付したメールとは別に送信されるため、手間をかけずに重要なファイルの送信が可能です。

さらに、セキュリティ管理機能を活用することで、条件に応じて送信先のアドレスを BCC に変換できます。これにより、アドレスの漏えいを防止できます。

上記ソフトを導入するメリットとしては、下記が挙げられます。

適切にビジネスを進められる

メールの誤送信を防止するためのソフトを導入することにより、社員のメールの内容を全社的に共有できます。問題があっても、すぐに指摘して必要な対処ができます。

作業の効率化が可能

人が作業している以上、ミスが生じる可能性をゼロにはできません。誤送信をなくすために慎重に作業すれば、その分だけ手間や時間がかかります。しかし、ソフトを使うことにより、メールのチェックにかかる手間や時間の削減が可能です。

例えば、宛先の確認や BCC への 強制変換の機能を使うと、メールのチェックにかかる負担を軽減できます。メール送信を効率化できれば、他の業務に集中しやすくなります。

コスト削減につながる

メールの誤送信が発生すると、それに対処するための余計な手間がかかります。謝罪や修正を行うにはコストがかかる可能性もあります。しかし、ソフトを導入することで、メールの誤送信を防ぎやすくなるため、ミスに対処するための手間やコストを減らすことができます。

5. 効果的なメール誤送信対策とは

メールの誤送信を防ぐには、次のような対策が有効です。

  • メーラーやシステムの機能を活用する
  • チェックリストを作成する
  • 第三者によるチェックを行う
  • 社内運用ルールや社員教育を徹底する
  • 添付ファイルにパスワードや暗号化を設定する

5.1. 技術的対策

メール誤送信防止ツールの導入(例: 宛先確認、添付ファイルチェック機能)

メール誤送信防止ツールやシステムには、次のような機能があります。

  • 送信時の宛先確認機能
  • 添付ファイルの自動暗号化機能
  • 送信メールの一時保留機能
  • 上長やリーダーによる承認機能

暗号化やアクセス制限の活用

メールの誤送信を防ぐには、暗号化やアクセス制限などの対策が有効です。

暗号化:メール本文や添付ファイルを暗号化して、第三者による盗聴や改ざんを防ぎます。暗号化ソフトを導入すると、通常通りメールの送受信をするだけで自動的に暗号化されます。

アクセス制限:メールフィルターなどを使って、宛先や送信時間、添付ファイルの開封状況などを制御することで、メール誤送信を防止します。

その他の対策:宛先と送信先の確認、CCとBCCの適切な利用、自動チェックシステムの導入、社内ルールと上長承認のプロセス、送信取り消し機能の活用などを行うことで、メール誤送信を防止できます。

5.2. プロセス改善

また、メールを送信する前にチェックリストを作成し、フロー化して必ず確認を行うことも効果的です。チェックリストでは、次のような項目を確認します。

  • メールアドレスに間違いがないか
  • Cc・Bccの設定は正しいか
  • 添付ファイルの漏れはないか
  • 選択した添付ファイルは正しいか
  • 添付ファイルを暗号化したか
  • 本文中の社名・名前に間違いはないか

ダブルチェックの仕組み導入

メールの誤送信を防ぐためのダブルチェックとは、メール送信前に担当者が作成したメール内容を、上長や別担当者などの二次チェック者が確認する運用です。航空業界や医療現場など、生命に関わるミスが許されない職業で事故防止の観点から導入されています。

メールの誤送信を防ぐためのダブルチェックでは、次のような項目を確認します。

  • 宛先(メールアドレス)が正しいか
  • To、Cc、Bccを正確に使っているか
  • 本文の送る内容は間違った相手を対象にしていないか
  • 添付ファイルの内容は送り主に対するものか

また、メール送信時のルールの作成や見直しを行うことも重要です。たとえば、重要なメールは送信前に宛先や添付ファイルなどのダブルチェックを義務付けたり、確認すべき項目をチェックリスト化するルールを設けたりする方法があります。

5.3. 教育・意識改革

メールの誤送信を防ぐには、従業員にメールの誤送信について教育し、セキュリティー意識の向上を図ることが大切です。

メールの誤送信の主な原因は、ヒューマンエラーやオートコンプリートの誤使用、CCとBCCの使い間違いなどです。誤送信を防ぐには、次のような教育や対策が考えられます。

  • 宛先確認プロセスを強化する
  • CCとBCCの使い分けを教育する
  • 添付ファイルの暗号化やパスワード管理を徹底する
  • トレーニングや啓蒙コンテンツで従業員のセキュリティー意識の向上を図る
  • 怪しいメールが届いたら、開かずに管理者に通報するという正しい行動を意識づける

セキュリティ研修の実施

セキュリティ教育は、従業員のセキュリティ意識やリテラシーの向上、自社セキュリティポリシーの周知を目的として行われます。企業や組織におけるセキュリティ事故は、従業員の意識問題により、従業員本人にとって些細な問題から大きな被害に繋がることが多々あります。

また、セキュリティ教育ツールの役割は、会社としてのセキュリティ意識を高めるための教育・トレーニングを行うことです。

情報セキュリティ教育の目的は、情報セキュリティ事故を未然に防ぐことです。情報セキュリティ事故は、従業員の知識不足やセキュリティ意識の甘さなどによる人為的ミスで起こることがあるため、従業員の情報リテラシーを向上させる必要があります。

セキュリティ教育を定期的に行うことで、従業員のセキュリティリテラシーや知識、技術が向上して、組織全体のセキュリティリテラシーの向上につながります。

四半期に1回やできることなら月1回など従業員にとって情報セキュリティが身近になるレベルの頻度で行うことで効果は高まっていきます。

誤送信時の対応手順を明確化

メールを誤送信した場合は、迅速かつ誠意をもって対応することが大切です。対応手順の例は次のとおりです。

  • すぐに上司や社内の関連部署に報告する
  • 誤送信した相手へ電話で謝罪する
  • お詫びメールを作成する
  • 誤送信したメールを削除してもらうよう依頼する

お詫びメールでは、次のポイントを伝えるようにしましょう。謝罪と誤送信の内容、誤送信に至った原因、相手にお願いしたい対応、 再発防止策。

再発しないことが最も望ましいですが、仮に再発した際に備えて、手順を明確化しておくことで、仮に同様の事象が起きた場合もスピーディーに対応することができます。

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